【レポート】東京の染屋さんを訪問しました
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最終更新日:2014/08/29
有田焼創業400年プロジェクト 交流, 伝統工芸, 伝統工芸産地人的交流事業
以前、7月に有田にお招きしアテンドさせて頂いた東京染色工業協同組合の方々のところへ今度は我々有田の窯元がお邪魔しました。各工房の皆様や青年部の方々にはお忙しい中とてもよくしていただき、大変ありがたく思います。
羽田到着後、組合さんへお邪魔しミーティング。ここでは基本的な東京の染物のお話とこちらからも質問させていただきました。ある程度知識を入れたところで移動。
まずは二葉苑さんを訪問。
この二葉苑さんは東京の染屋さんの中でも革新的な経営をされていて、パリで開催されている国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」にも何年も続けて出展されています。ショップも併設、また一般にも工房を解放されており、見学ができるようになっています。
染の中でも江戸更紗が得意との事で、細かい多色柄を染めるため型紙を30~40枚重ねて染めていくそうです。
更紗はたくさんの色を使うので、刷毛も大小さまざま色ごとに分けられています。
次にお邪魔したのが、現在組合の中で最も古く歴史のある老舗「富田染工芸」さん。
大きな工房で昔ながらの設備もそのまま残っていて各工程を説明していただき、江戸時代の貴重な型紙も見せていただきました。
ベテランの職人さんの手ほどきを受けながら我々も染小紋を体験。
年季の入った職人さんの前掛け。汚れた様も渋くてかっこいい!
東京の染屋さんは江戸時代、水洗いのため神田川や妙正寺川、隅田川周辺に集中していたんだそう。神田や浅草が繁華街化していくにつれ、早稲田、高田馬場あたりへ遡って移動。川で水洗いができない今でも多くの工房が川沿いに残っています。二葉さんも富田さんも工房は川のすぐ傍でした。
そして二日目にお邪魔したのは「五月女染工場」さん。
隅田川近くのスカイツリーが目の前にある駒形の工房です。
五月女さんは染小紋の中でも単色ではなく多色で染める「しゃれ小紋」をメインに染められています。(多色といっても更紗とは違い、そこまでたくさん色数を使うわけではないようです)
写真では単色に見えますが、実は同系統の赤(すこし濃いめ)で紋様が上から染められています。これがまた実におしゃれ。贅沢が禁じられていた時代においても、パッと見ではわからないおしゃれさを盛り込んだ当時の職人さんの魂や粋、遊び心を感じます。
他にも五月女さんの工房や職人さんの手仕事も見せていただきました。
下の写真は五月女染工場の職人“徳さん”なんと15歳の時から働いていて、職人歴は60年以上なんだそう!!福珠窯にも30年以上の職人さんがいますが、ざっとその倍。これにはビックリです。
この後も東京だけでなく有田の各窯元で分かれ他の伝統工芸産地へ訪問する予定です。この交流の結果は11月に行われる「伝統的工芸品月間国民会議全国大会 佐賀大会」にて発表する予定となっております。その様子はまたレポートしたいと思います。
今回の訪問にご協力いただいた方々(順不同)
東京染色工業協同組合 様
富田染工芸 富田様
二葉苑 小林様
金田染工場 金田様
田島染芸 田島様
五月女染工場 五月女様
岩下江美佳様
誠にありがとうございました。
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